遊宝洞

遊宝洞活動ログ ESSEN SPIEL'03参加レポート(後編)

2014年9月16日
(※編注 この記事は旧遊宝洞ホームページに掲載されていた
 2003年にドイツで開催されたESSEN SPIEL'03への参加レポートを再編集したものです。)


10/23(木) 初日


電車にも昨日よりはるかに多く人が乗っていて、会場の外には早くから人だかり。明らかに人気のイベントであることがよくわかる。そして、ついにドキドキの会場時間がやってくる。流れこんでくる人・人・人。

最初の1〜2時間は巨大なブースをとりあえず一回り…というのがお客様の基本行動である様子。考えてみれば当たり前で、コミケ・クラスの会場がいくつもあるモンスター・イベントにやってきて、いきなりどこかのブースに腰を落ち着けて遊び始める人のほうが珍しいわけだ。
…と自分に言い聞かせてみはするものの、こちとら「はじめてのおつかい」である。本当にドイツの人たちに自分たちのゲームが楽しんでいただけるのかどうか、というかそもそも興味を持っていただけるのかどうか、まさに不安でいっぱいの状態である。誰でもいいから遊んでみてください…祈るような気持ちでお客様の流れを見つめる。
その祈りに答えるように、男の子4人組を引き連れたお父さんがブースをしげしげとのぞきこんでくださる。
「お時間がおありでしたら、遊んでいかれませんか?」…と声をかけると、ニッコリと微笑んでテーブルについてくれる少年たち! 低めの年齢を考慮して、とりあえず「伝説のかけら 〜Saga〜」をインスト。楽しそうに騒ぎながらプレイしてくれる姿を見て、心の底からホッと一安心。しかも、ちゃんと1つお買い上げ! まいどありがとうございますっ! 誰かが遊んでいると、それだけで他のお客様も興味を示してくださるというもの。以降、デモ用テーブルは常に回転してくれるようになった。
夕刻にさしかかった頃。2度もデモに参加してくれた少年ふたりが、「伝説のかけら 〜Saga〜」の値段を見ながら深刻な顔で相談しているのを発見。たずねてみると「とても面白かったのだが、小遣いではとても買えない」とのこと。ドイツではカード・ゲームは品質をぐっと抑えて、その分10ユーロ以下で販売されるのが普通なのである。そこまでマケてあげるわけにもいかんし…と思案していたのだが、ふと妙案を思いついてこんな提案をしてみた。

中村「実は我々は誰もドイツ語が話せない。もし、明日以降ここで遊んでくれて、他のお客様にドイツ語で説明してくれたら、ゲームをプレゼントするよ。」
少年「本当?! あ、…でも、入場利用の7ユーロが払えないや。」
中村「いいよ。何時間か説明してくれるならそれも出してあげるよ。」

ニカッと笑って親指を立てる少年たち。交渉成立、こちらも願ったりかなったりのドイツ語インストラクターゲットである。

 この夜は、メビウスの店長さんとご家族やカタンの日本代表の面々などなど、日本からエッセンまでやってくるほどのゲーム・ファンのみなさんと夕食。なんと総勢20名。これだけゲームを愛している人たちがいるのである。日本にもドイツのようにゲームを愛する文化が広まるのは、けっして夢ではないはずだ。

最終日に行われる世界大会で決勝にまで勝ち残ることになる日本チャンピオンの渡辺さんに、いろいろとなぜかモノポリーのプレイングについて拝聴する。と言ってもほとんどの時間は、渡辺さんお得意の「プレイ中に使えるだじゃれ」の数々を教えていただくのに割かれていた気がしなくもない。たとえば…

9が出したいときに…「ミロのビーナス。」(ふった後のポーズは有名な彫像の形で)
支払うときに…「4ドルが飛んでいく。」「1000ドルが飛んでいく。」
支払うときに…「どうぞご自由に(52)ドル。」

 すっかり板垣家で夕食をした一歩君の気持ちになった我々。とはいえ、少なくともカタンの日本チャンピオンというひとつの道を究めた方のご高説である。モノポリーの勝率に大きく影響しているに「違いない」。ぜひとも、ゲーム・オリンピックにて「チーム遊歩道」代表としてモノポリーに出る進藤さんにはマスターしていただかないと…などと騒ぎながらの楽しい夕食であった。
10/24(金) 2日目

昨日約束した新戦力のふたりが約束通り登場。名前はユリアン君とエンドリック君。早速お客様を捕まえてドイツ語でインストラクターとして大活躍。実に頼もしい。

 夕刻、ユリアン君の携帯に着信あり。なにやら深刻そうにやりとりをしている。
ユリアン君 「ごめんなさい。ママが怒ってるからそろそろ帰らないと。」
中村 「『遊んでばかりいないで勉強しなさい』って言われちゃった?」
ユリアン君 「うん。それに犬が3匹待ってるから。」
中村 「散歩は君の仕事かい?」
ユリアン君 「うん。長〜い長い散歩さ。3時間はかかるんだ。それに亀もいるし。」
 そりゃ大変だ。
 ママのお怒りゲージの溜まり方次第ということで、明日以降来れるかどうかわからないという2人。この日だけでもとても助かったので、それぞれにゲームをプレゼント。ママの怒りが解けたらまた来てねと約束してサヨウナラ。

 この日は「世界のボードゲームを広める会ゆうもあ」の方々と夕食。
 その途中、久しぶりにうちの広木社長らしい爆弾発言があったのでご紹介。

広木社長 「ホテルの朝食はうまいですが、代わりばえしないのが難点ですな。パンに卵にハム、フルーツにそれからシリアスですか?」

 牛乳かけんのはシリアルだよ。
 朝から深刻になってんじゃねえよ!
10/25(土) 3日目

 イベントにもだんだん慣れてきた3日目。ただし、週末とあってさらなる人手が予測される日だったりもする。2人の少年はママに捕まってしまったみたいだし、気を引き締めてがんばらないと。

デモ・テーブルの風景を紹介するとこんな感じ。

 日本人に比べてとかくボディ・アクションが豪快なのが欧米の方々の特徴。
 「伝説のかけら 〜Saga〜」をプレイしていて、派手なカードなんかが炸裂しようものなら実にオーバー・アクションな大騒ぎが巻き起こる。我々としては、客引きになっていただけて大変助かるわけなのだが。
 そんなオーバー・アクションのあとのとあるおじ様ゲーマーの発言。
お客さん 「やってられるか! 誰かビールをもってこい!」
 う〜ん、さすがはドイツ人(^_^)。

 店頭でのお客様への説明もだんだんなれて来た私。ドイツの方向け「仮面舞踏会」のセールス・トークとして、とある解説が決め台詞になることを発見。
中村 「このゲームは戦略性の高いゲームです。あなたが、『ディープ・ゲーマーなら』絶対気に入っていただけると思いますよ!」
 これは!というお客様にそう煽ると、どうやら大変プライドをくすぐられる模様。大抵ニヤリと笑って買っていただけるのであった。
2人の可愛い小さな女の子と、かっこいいビシネス・スーツを着こなしたおじ様が参加した「伝説のかけら 〜Saga〜」のプレイ風景。
一生懸命の女の子たちも可愛かったのだが、なによりおじ様が素晴らしい。隣でプレイしていた私におじ様の手札がチラリと見えてしまったのだが、そこにおじ様の苦悩がありありと。『私同様』おじ様の手札もとうに『あがっている』のである。なんとか小さな女の子たちに上がってもらおうと、苦心惨憺しているおじ様の姿を見て、すっかり嬉しくなってしまった風景であった。

 自分のゲームを楽しんでいただいている姿を、ずっと見ていられる1日。
 なんと贅沢な1日であることか。
10/26(日) 最終日

 この日の朝はこれまでとちょっと違った。
 ホテルのバイキング形式の朝食がほとんど残っている。
 駅周辺のショップがすべて閉まっている。
 駅構内にもほとんど人がいない。
 まるで、我々以外の人が街からいなくなってしまったような不思議な風景。
 ドイツでは、日曜日はこんなに静かなものなのだろうか…。

 理由はすぐに判明。
 前日がサマー・タイム最後の日で、1時間早起きしすぎただけであった。
 ちゃんちゃん。

 というわけで、ものすごく早く会場についた我々。せっかくだから、ショップ系のブースにご挨拶周りをしようということになる。遊宝洞代表の広木社長と通訳の進藤さんは、商品を持って会場をぐるぐる。その間ぽつんとひとりでブースを守る中村。

 …開場時間になった。人が流れこんできた。でもまあ、しばらくは空いてるから…。
 …2時間経過。むっちゃ込んできた。もちろんブースはパニック状態。

 商談かなんかで盛り上がってるのかしらないが、早く戻ってこんかい〜と日本語で叫びそうになった時に、なんと予想外の援軍が登場。そう、ユリアン君とエンドリック君である。ひとりでデモ・テーブル2つと売り場を支えていた私にとって、まるで西部劇の騎兵隊のように見えたのであった。
中村 「ママのお怒りは解けた?」
ユリアン君 「昨日1日勉強したから大丈夫!」

 う〜ん頼もしい。
 しかも、パパに頼んで「伝説のかけら 〜Saga〜」のカードリストとルールブックをドイツ語訳までしてきてくれた。まさに涙が出るほど嬉しい援軍だ。
 その後、広木先生と進藤さんが戻ってきて通常運営。交替で食事休憩が取れるようになった。広木先生と進藤さんが休憩の時にちょっとしたイベントがあり、戻ってきた進藤さんを相手にこんな会話が発生。

中村 「進藤さん、クニツィアさんってご存知ですか?」
進藤 「もちろん。あの、ライアー・クニツィアですよね?」
中村 「ええ。ところで進藤さん、クニツィアさんってご存知ですか?」
進藤 「だから知ってますが…、え、まさか…。」
中村 「そのまさかなんですが、クニツィアさんってご存知ですか?」
進藤 「まさかクニツィアさんが来たんじゃないでしょうね! キタネエ!」
中村 「いやあ、あと5分早く帰ってくれば、共に熱いゲーム論を交わせたのに!」
進藤 「ぐわあああっ!」

 有名デザイナーさんとお話できるのもエッセンの醍醐味ということで。


 ついに、4日間の長き宴も終わりを告げる。
 カタンの世界大会では、日本勢が健闘したという知らせを受け取る。
 ユリアン君とエンドリック君がおうちに帰る。気持ちだけのお礼を渡して、「もし来年も遊宝洞がここに来れたら、また手伝ってね」と約束しての別れ。
 お客様の流れが少なくなっていく。
 そして…
 会場の扉が閉じられる。

 体感する巨大イベント。
 有名ゲーム・デザイナーとの会話。
 ユリアン君とエンドリック君との交流。
 初めてユーロで受け取った代価。
 そしてなによりも、楽しんでくれたドイツの人々。

 必ずまた来よう。
 そう心から思えるイベントであった。

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